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2010年10月22日 (金)

関税では農業を守れない

菅首相が貿易自由化を柱とする環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)への参加を検討していることに対して、政界では賛否が鋭く対立し始めた。

民主党内では、小沢一郎元代表に近い議員ら約110人が21日、国会内で会合を開き、TPPへの参加に慎重な対応を求める決議を行った。この会合に出席した鳩山前首相は「何でもかんでも関税を撤廃することからスタートしていい、という話にはならない」とまで言い切った。

一方、前原外相は19日午後、「日本の国内総生産(GDP)における第1次産業の割合は1.5%だ。1.5%を守るために98.5%のかなりの部分が犠牲になっているのではないか」と述べ、TPPへの参加を支持する意向を表明している。

TPPをきっかけに、親小沢vs反小沢の第2ラウンドが始まったようだ。この問題では自民党内でも賛否が分かれている。いっそ、貿易自由化vs農業保護の対立軸で与野党をまたがる政界再編を行ったほうがよほどすっきりする。

ただ、この対立軸は長くは続かない。関税を維持していても、いずれは保護の対象となる農業の衰退は避けられないからだ。

農業従事者の高齢化により、農業人口は減少を続けている。このままでは、早晩、日本の農地は荒野となるだろう。兼業農家はある程度残るが、若い世代の多くは兼業農家を続ける気はない。民主党政権が導入した戸別所得補償制度の交付金目当ての農家が形ばかりの農業を細々と続けるだけだ。

たしかに、農業の関税撤廃はこの流れを促進するだろう。しかし、関税を維持してみても行き着く先は同じだ。そうであれば、いつまでも関税に頼らず、別の方法で農業の競争力強化に取り組むべきだ。それに必要な財源は、貿易自由化によって生まれる新たな富からもってくればよい。

その観点に立てば、鳩山前首相は、むしろ「何でもかんでも関税を維持することからスタートしていい、という話にはならない」と言うべきだった。

そもそも民主党がマニフェストに掲げた農家に対する戸別所得補償制度は関税撤廃に伴う農家の収益悪化を補填するためのものではなかったのか。それを選挙目当てに零細な兼業農家にまで対象を広げてバラマキを続けるのは国費のムダだ。事業仕分けでは特別会計をやる前に、まずこれを対象にするべきだ。

TPPに参加して農業の関税を撤廃し、農業の競争力の核となる専業農家には所得を補償して育て、零細な兼業農家には米作から撤退してもらって余剰米を減らす。これが日本の農業を守り、育てる政策であり、長い目で見れば、農家や農業団体にとっても利益を得る道である。

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